Fate/zeroを見た
気になっていたFate/zeroをようやく見た。
Fate/zeroはFate/stay nightの前日譚で、主人公・衛宮切嗣が暗躍する第四次聖杯戦争を描いた作品である。stay nightは原作がPCゲームだったがzeroは小説が原作となっている。
登場人物は学生がメインだった第五次に比べ成熟した大人が多く、ストーリーもハードボイルドな展開がなされる。漫画に例えるならばstay nightが青年誌、zeroは成人男性向けの雑誌のような感じ。
特筆すべきはクオリティの高い描写の数々で、先にアニメ化していたDEEN版より細かくも派手な映像は観るものを圧倒するだろう。元が小説という事もあり、設定や台詞も練られていて途中で飽きることはなかった。たった二話の短い時間で衛宮切嗣の過去を収めたのには驚きだ。
しかし逆に言えばやや難解で、専門的な用語なども出てくるのでFate好きなマニア向けという感じも出ている。ショッキングな描写や重い話などもあるのでそう言った意味でも大人向けではないだろうか。
自分の周りでも流行っていたアニメだったので、今見た時は「皆よくこんなアニメ見ていたな」と驚いた。最初に見るFateとしては悪くないかもしれないが、どちらかと言うとstay nightから見た方が無難かもしれない。時系列的には逆だが。
stay nightでのセイバーいわく「仲が悪すぎて三回しか喋らなかった」と言われた切嗣だが、蓋を開けてみれば少しは喋っているもののやっぱり仲が悪い。いや仲が悪いと言うよりはすれ違いが激しいと言うべきか。
他の登場人物も何かしらの野心を秘めており、一見共闘しているように見えるが実は利用しているだけだったりと高度な心理戦がなされているのが分かる。
聖杯戦争とはもともと万能の盃を奪い合う殺し合いである以上、人を裏切ったり貶めたりするのは何ら不思議な事ではない。しかしそればかりでは情が無さすぎる。
そんな中で一種の清涼剤となり得るのがウェイバーとライダーだ。マスターとして未熟ながら奮闘するウェイバーと、現世の娯楽に浸かりながらも聖杯戦争を蹂躙するライダー。正反対な二人だが第四次聖杯戦争では珍しく良好なコンビであり、ある意味主人公よりも主人公らしいと言われることもある。
切嗣も主人公らしい部分はあるのだが、いかんせんやり方からかダークヒーローとしての側面が強い。正義という課題を問い続けた末での功利主義なのだが。果たしてその行動は正しかったのか。仮に正しくとも彼は理想の正義の味方になれたか。
そして切嗣の死に際に理想を借りた少年がどうなるかはまた別のお話。