劇場版Fate/stay night Unlimited Blade Worksを見た

 dアニメストアに無かったのでわざわざTSUTAYAで借りてきた。

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一応ネタバレ注意

   Fate/stay nightのアニメはセイバールートを元にしたDEEN版と、UBWルートを元にしたufo版が有名だが、DEEN制作のUBWルートがあるのはご存知だろうか。

このDEENUBWは2010年に上映された劇場版だ。ufo版のUBWより先に上映されたのでUBWルートの初の映像化作品である。

 原作の1ルートだけでも何時間も掛かるのに一つの映画に収めるなんて無理じゃないか?と思う人もいるだろう。あらかた正解だ。案の定あらゆるシーンが短縮されている。

 

 まず序盤の凛との対立が無くセイバールートと同じようになっている。原作のUBWでは普通に学校に来ると凛に怒られて学校でドンパチする羽目になるのだが、本作ではその対立が無くそのままライダーと対面する。

この辺は原作ではセイバールートと違ういきなりのマスター同士の戦いに興奮したので、出来れば手を抜かずに映像化して欲しかった。

 

 次にライダーが士郎を襲ってからそのまま結界を発動させ、葛木に殺されている。原作では1日以上は空いていた。

またキャスターも柳洞寺での戦闘の後に藤村を拐おうとしており、かなり忙しい。

ここで士郎が「藤ねえを離せ!」と要求するのだが、キャスターが優しいのか尺の問題かスッと離してくれる。原作では藤村かセイバーかどちらを優先すべきか……という緊張感があったので残念だった。

 

 その後はキャスターが言峰を襲って教会を乗っ取るシーンが新たに挿入されている。原作では会話のみだったのでこれは嬉しい。

言峰の前に影が現れ近くのロウソクが血で消える、という直接的な描写を避けミスリードを誘っているのも高ポイント。尺の短い本作だからこそ簡潔に出来たシーンと言えよう。おかげで原作未プレイだと分かりにくいが。

 

それからはアーチャーの離反~味方探し~ギルガメッシュ登場~ランサーの助太刀~教会での戦闘~と続く。相変わらず端折っているが特に大きな変化は無い。

ただバーサーカーイリヤの回想シーンが無くなったのは惜しい。一方ギルガメッシュによる心臓引っこ抜きはちゃんと再現されいている。原作の文字だけでも結構衝撃的だったが、映像化すると中々えげつない事をしていると再認識させられる。

 

 そして物語は終盤へ。UBWの名バトルである士郎VSアーチャー。DEEN版セイバールートのOPでは何故か剣を交えていた両者だが、本作でようやく叶うこととなった。

出来は中々良い。これまで短縮した部分を注ぎ込んだ感じがした。

 一方凛とランサーの活躍もカットされる事なく描かれている。気色悪い動きをする慎二から例の自害シーンまで気合が入っており、大詰めという感じが出てきた。

 決戦前夜の魔術刻印の移植シーンはコンシューマー基準。魚が出てくる。

 

 ついに舞台は決戦の地である柳洞寺に。士郎VSギルガメッシュは盛り上がりは良いのだが、気合が入りすぎでうるさい。

「行くぞ英雄王。武器の貯蔵は十分か」という名セリフも

「行くぞ英雄王!!!!!武器の貯蔵は十分か!!!!!」

静かに言い放っていた原作とは真逆に、剣を手に取り走りながら叫ぶ。

それに対し追い詰められていくギルガメッシュ

「おのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれ!!!!!!」

と連呼する。よほど追い詰められているのが分かるが、正直このシーンは笑った。

気合が入るのは分かるがいくらなんでも力み過ぎだ。

 

 その裏で慎二を救い出す凛だが、聖杯の泥がグロテスクでよく映像化出来たなと思った。妙齢の少女がまあこんな所に足を突っ込んで憎まれ役を助けるのだから感服する。

セイバーと遅れてきたアーチャーの助力により聖杯を破壊する凛達。そして聖杯が破壊された事により消えてしまうセイバー。ここでセイバーが凛の方に向き微笑むという原作には無かったシーンがあり、アーチャー同様英霊との別れの名残惜しさを感じる。

 

 ギルガメッシュを倒し、アーチャーと別れ無事にエンディング……なのだが電池が切れたのかというくらい駆け足で終わる。おかげで慎二のその後や、凛のロンドン行きの話などが思いっきりカット。それくらいは見せて欲しかった。

 

 全体的に短い。これに尽きる。あとセイバールート同様ラストに気合が入るのは良いが叫び過ぎで、これを熱いと捉えるか、やかましいと捉えるか好みが分かれる所。

色々と端折り過ぎて原作を遊んでいないと何が起こったか分からない。ただ原作を遊んでいても、逆に不満が残る。

割と優先して観なくてもいいと思う。逆に短さを活かしてダイジェスト風に見るのが一番だろう。